一年前、巨大藤のふもと――ハルガーデン一帯の住民が次々と強烈な睡魔に襲われていった。少数の人々は夢から目を覚ますこともできず、人々は恐怖に怯えた。ある学者は、これは巨大藤の突然変異の兆候ではないかと考えた。しかしその真相は不明である。
教会の典籍には、こう記されている――ソウルは、巨大藤シュメルから生まれ、やがて巨大藤に還るのである。
巨大藤から離れたソウルは、依代としての肉体を見つけ、この両者が結合すると完全なる生命が誕生する。しかし、ソウルは成長しつつあるもので、もし無制限に成長させれば、人間の耐えられる限界を超え、最終的に肉体の崩壊に至ることもある。
そのため、人々が眠りにつくと、身体の限界を超えた部分のソウルが召喚され、巨大藤に戻される。ソウルが分離された瞬間、巨大藤からぼやけているイメージが届けられ、それがいわゆる「夢」と呼ばれるものである。
巨大藤に吸収されると、一部のソウルは人々の知らず知らずのうちに失われ、ストレイになる。ソウルとともに失われた記憶も、巨大藤のあちこちに散らばってしまう。
伝説によると、鈴を持つ女神がいるとのことだ。鈴の音のエコーが響くたびに、ストレイになったソウルが戻り、世界に新しい生命をもたらすという。それ故、失われたソウルは「ソウルエコー」と名付けられている。
巨大藤シュメルは神域と呼ばれているのは、巨大藤に様々な神秘的な空間があるからだ。それがいわゆるリーフである。
肉眼で見える限り、「巨大藤シュメル」には9層のリーフがあり、それらを繋いでいるのが「シュメルの洞窟」だ。各リーフは独立しており、それぞれの気候、生態を持つが、その同時に何らかの奇妙なルールに従っている……
数百年間、執行者教会はずっと巨大藤とソウル、夢との関連性に関する研究をしており、そのために大いなる貢献をしてきた。
研究が深まるにつれ、教会内部は女神派とソウル派という二つの派閥に分かれた。
女神派の祭司の多くは、女神からの召喚や導きを受けた事があるため(その声が鈴の女からのものであるという事は知らないが)、女神派の者は、巨大藤の頂点に登る事は女神から授けられた使命であり、巨大藤にまつわる危険は女神からの試練に過ぎないと考えている。
ソウル派は、女神と巨大藤はソウルを糧としており、その存在自体が一種の悪であり、完全なるソウルを保った人間のみが救済の道に進む事ができると考えている。
最終的に両派には交わる事のできない矛盾が生じ、激しい衝突が勃発した。その結果、ソウル学派は異端とみなされて教会から追い出され、秘密の地下組織となった。
彼らはかつて教会に異端とみなされて追放され、ある時を境に歴史から姿をくらました。今やその動静は誰も知らない。
ソウル学派の最終目的は、ソウルの完全性と自由を追求する事であると言える。巨大藤がソウルを食らう行為は邪悪であり、いわゆる女神さえも、巨大藤が人をおびき寄せるための餌に過ぎないと、彼らは考えている。
当初、メンバーは執行者教会内部の高位祭司であったが、後に学者を中心とした学術団体として発展していった。
噂によると、ソウル学派の首席は七つに分けられており、定期的に集会を開いて学術の討論を行っているそうだ。
ソウルと夢の研究は進んでいるものの、かなり過激で、ソウルを構造体に注入する大規模な実験を何度も行っていた。